WELCOME to FUSAKO TAKAHASHI's website.
ジャズ&精神分析 ジャズ・エッセイ ライブ情報

精神分析とジャズの類似性の研究 〜「即興が生起する場」の考察〜

序章 | 第1章 問題と目的 | 第2章 先行研究 | 第3章 仮説 | 第4章 研究法 | 第5章 結果の考察
第6章 総合的考察 |
第7章 今後の課題 | 終章 | 引用・参考文献・謝辞 | 資料

第7章 今後の課題

 本研究においては、先行研究の知見とジャズ・ミュージシャンへの質問紙調査の回答が、多様性に富み、かつ説得力を有するすぐれた素材であったことが最大の収穫といえるだろう。この素材を、研究としてまとめられたことは意義のあることと考える。
 しかし研究の内容をふりかえれば、残された課題が数多くある。精神分析とジャズは、どちらも奥深い領域であり、本研究で取り上げることができたのは、ほんの一部分にすぎないからである。
仮説のテーマである「即興を生起させる形式」「自他の境界と開かれた
コミュニケーション・スタイル」「あいだの空間」については、いずれも精神分析の領域で多くの研究がなされている。今後の課題として第一に挙げられることは、こうした研究、とくにBionの「思索についての理論」「コンテイニング」、Winnicottの「第三の領域」「ホールディング」、Kohutの「自己心理学」、小此木の「治療構造論」、Meltzerの「心的機能の多次元性」、Ogdenの「間主体性」の概念について理解を深め、仮説のテーマに関する論旨を精緻化させていくことではないかと考える。
 精神分析とジャズの両者に特徴的な類似性として、本論文では「即興」を取り上げたが、ジャズの特徴としては、他にも「スウィング」や「ブルーノート」が挙げられる(Lichtenstein,p.233)。前者はリズムの多重性や不調和、後者は多義性や不確実性と関連づけることができるが、いずれも精神分析の領域と関係が深いテーマであり、適切なアプローチ法を見出すことができれば、研究課題として取り組むことが可能と考える。
 他にも課題として、本研究の知見を臨床心理学の領域でどのように生かしてゆくかを考えることも重要である。現時点では、臨床に適用するための具体的な方法を提示することはできないが、すでにジャズの要素を取り入れた臨床を実践しているKnoblauch(2000)の文献をさらに考察し、あらたな情報を集め、精神分析とジャズを結びつけることによって何ができるかを、考えてゆきたい。

序章 | 第1章 問題と目的 | 第2章 先行研究 | 第3章 仮説 | 第4章 研究法 | 第5章 結果の考察
第6章 総合的考察 |
第7章 今後の課題 | 終章 | 引用・参考文献・謝辞 | 資料
←
←
↑
→
↑





WELCOME to FUSAKO TAKAHASHI's website.
ジャズ&精神分析 ジャズ・エッセイ ライブ情報